ヘイル、シーザー!


スタジオ・システム末期の様子と赤狩りの気配が漂う50年代のハリウッドをポップにシニカルに、コーエン兄弟らしいオフビートな笑いをまぶして描く、映画に対する愛を斜め方向からしたためたラブレターのような映画。大好き!ひとつひとつの場面がどれもいちいち好きだなー、とときめくのだけど、全体の流れやつながりが滑らかに飲み込めなくて、ざくざくとした歯ごたえがある感じも楽しかった!

劇中映画が往年の作品のオマージュというかパロディっぽいのもわくわくする。スカーレット・ヨハンセンのシンクロ映画の様式美とか、チャニング・テイタムのご陽気なミュージカルとか、ずっと見ていたいくらい好き。
あと、なまりのひどい若手俳優レイフ・ファインズの”Would that it were so simple”の台詞のくだりにめっちゃ笑った。あの若手役の子がSWのスピンオフでのハンソロ役に決まったらしいので、「ううむ。。。この子がハンソロか。。。」と小姑っぽい目で最初みてたんだけど、愛嬌があるし飄々とした雰囲気がいいね、という気持ちに最終的に落ち着きました。期待してます。

最初のほうのジョージ・クルーニーの撮影シーンでエキストラ役をやってるひと、なんか見たことあるなー、とずっと考えてて、『ジュラシックパーク』でちっちゃい恐竜が「キュウ?」と可愛らしく首をかしげたあとに毒汁ブシャー!ってぶっかける場面のあのひとだ!と途中で思い出してすっきり。

エンドロールで流れるもわもわした不思議な感じの曲調で始まる男性合唱団っぽい歌がなんだか気に入って調べてみたら、"Echelon Song"という、スターリンの時代に作られた勇ましい戦いの歌だった。映画の展開を思うとこれまた絶妙な選曲。