帰ってきたヒトラー


めちゃくちゃヤバい!いろんな意味でものすごくヤバい!

1945年に地下壕で自殺を図ったはずのアドルフ・ヒトラーがなぜか2014年のドイツにタイムスリップして、ハイレベルなものまね芸人と勘違いされて人気を博すという、笑えない、笑ってはいけない、でもちょっと笑ってしまう恐ろしさ。。。ヒトラーが街中で人々と言葉を交わす場面はドキュメンタリーという大胆さ。。。ドイツの人たち、よくこれを作ったなー。でも最終的には、現代社会への警鐘という明確なメッセージがちゃんと見て取れるのでちょっと安堵。

なによりも、ヒトラー役の俳優がすごすぎて、ヒトラーをどこか憎めなくなってしまい、意外とこういうリーダーシップを持った人が現代社会には必要なのかな?と、ほんの一瞬でも自分が考えてしまったことが一番怖かった。

歴史から学び、悲しみ苦しんだ人たちの想いに寄り添う想像力や、負の歴史を繰り返してはいけないと肝に銘じる理性は、人間に与えられた大切な能力だと思うのだけど、この映画のなかでヒトラー移民問題などについて本音を語るドイツのひとたちの一部にはそういう部分が見受けられず、それは実際の生活の苦しさのなかで素直に感じていることなのだからしょうがないんだろうとは思いつつゾっとしたのだけど、日本でも同じような思想をよく見聞きするなあ、とさらにゾゾっとしました。

わたしの狭い交友範囲のなかだけの話だけど、親しいアメリカ人のなかに、たとえ共和党支持であってもドナルド・トランプを積極的に推した人たちはいないし、イギリス人の友だちでEUからの離脱を望んでいた人たちはいないし、日本の友だちや私が尊敬している人たちでアベノミクス成功だよね!憲法9条は絶対に改憲するべし!と言う人たちはいないのに、それが大いなる民意として今まさに世界を動かしていること、かつて民意がヒトラーというモンスターを生み出したこと。そういうことを考えるとゾゾゾっとしてしまうのでした。第二次世界大戦がはじまるちょっと前の日本ってこんなかんじだったのかなー、というぼんやりとした不穏さをここ2、3年かんじ続けているだけになおさら。しかしマック赤坂政見放送を楽しめるうちはまだ大丈夫なのかな。スマイル!