トランボ ハリウッドに最も嫌われた男


これ、ギンレイホールあたりで上映する際には『ヘイル、シーザー!』との2本立てで上映されそうな予感。あちらはハリウッドテンをかなり皮肉っていたけれど、こちらはそのメンバーの苦難を真摯に描いていて、ハリウッドの赤狩りの時代を極端なふたつの側面から見られるのが興味深い。表現や思想の自由が許されている時代ならでは。
この映画に出てくる、ひとつの自由が奪われれば、さらに他の自由も奪われる、みたいな台詞がとても印象的だった。自由の国アメリカの自由じゃなかった人たちを描く、とても心に響くこの作品を、あのアホ映画の名作『オースティンパワーズ』全三作を撮ったジェイ・ローチが撮るなんて!やるね!洒脱さやユーモラスな部分も健在で、笑いながらも心に染み入る塩梅が絶妙でした。

トランボ役のブライアン・クランストンはほんとオスカー候補に値する名演。しかめっ面になると『ブレイキング・バッド』のミスター・ホワイトを思い出しちゃう。だるだるの白ブリーフ一枚で荒野に立つドラマの名場面を彷彿させるような脱ぎシーンもあり。
トランボがひそかに脚本を書いていた『ローマの休日』の真実の口のシーンが劇中で流れて、すっごい久しぶりにあの映画のオードリーを見たけど、やっぱり神がかった美しさ。