ヤング・アダルト・ニューヨーク While We’re Young


予告編が一番おもしろかった。ウェルメイドな大人のコメディだと勝手に勘違いしてたので、アメリカの短編小説によくあるかんじの、ふわっともやっとした展開に、おや?というかんじでした。だれのせいでもない。仕方ない。

観る側がベン・スティラーナオミ・ワッツの40代夫婦と、アマンダ・セイフリッド&カイロ・レン(アダム・ドライバー)の20代夫婦のどちら側の年代かによっても受け止め方が違うのかな。わたしは完全にベン&ナオミちゃんチーム寄りなので、中年あるあるが非常に身につまされ、キレッキレのヒップホップを踊るナオミちゃんに心から感嘆し、カイロ・レンは今回はわりと好青年風かと思いきや、やっぱりカイロ・レンだったな!『 スターウォーズ フォースの覚醒』のときよりも人心を操るフォースが上達してるな!とイラっとしたよね。

一番ぐぐっと心に刺さったのが、終盤でベン・スティラーが言う「この年になると、自分の限界が見えてくる。”World is your oyster(世界は思いのまま)”の逆ってかんじでさ」みたいな台詞。この語源になった”Why then the world's mine oyster, Which I with sword will open(この世は我が真珠貝。この剣でこじ開けてしんぜよう)”って10代のころからずーっと、シェイクスピア劇のせりふで一番すきな言葉で、”The world is my oyster”という言葉を思い浮かべるたび、人生は希望と可能性に満ちている、とはればれした気持ちになったものだけど、ここ2、3年くらいはすっかり忘れていたなあ、とハッとしたのでした。これが・・・老い・・・。
若さゆえの傲慢さがしゅわっと消えた今だからこそ見える景色や醸し出せるまろやかさを大事にしつつ、好奇心や人の意見にはきちんと耳を貸す柔軟さは忘れないようにしよう、と、しみじみ考えさせられる映画ではありました。老いるっていうのは、年齢を理由になにかをあきらめることなっしー、という梨の妖精の名言を思い出したり。

カイロ・レンがごきげんで歌う♪You’re playing Nitendo! That’s what I’m not doing, that’s what I’m not doing”という歌の鼻持ちならないかんじとタイムリーさに笑った。ポケスポットであの歌を歌いながらモンスターボールを集めたり、ポッポを捕獲したりするという矛盾した行為に挑戦してみよう。