梨祭@武道館

Youtubeで見かけた謎の黄色い生物が奇声を発して震えたり飛び跳ねたりする映像がはなつ狂気に震撼した2013年3月。まさか3年後に、あの妖精が、単独ライブで武道館を満員にするなんて想像もしてなかったよ!

船橋のイオンの片隅でのファーストコンタクト以来、この3年のあいだふなっしーが紡ぎ続けた物語と、それに付随する陰日向の思い出が、昨日の武道館でひとつの大きな光にとけ込んで世界を照らしているような感覚をおぼえ、今までに見た数々の一流アーティストたちのどんな素晴らしいライブをも凌駕するレベルで心が震えてしまった。

昨日のライブについて語りたいことは274個ほどありますが、まずは、リハーサルで倒れるくらい体力的にハードで梨汁がブシャりまくりのライブの出演料もグッズ売り上げのロイヤリティもぜんぶ熊本に寄付するというところ。これまでも東北の支援をひっそりとずっと続けていて、それをみずから喧伝することは無かったので、人前で寄付についてふれるのは珍しいなと一瞬おもったら、これはみんなのお金が熊本に行くということなっしよー、ふなっしーにとってはみんなの歓声が一番の報酬なっしー、という来場者への御礼の言葉につながっていてしびれた。

以下、曲順や演出などネタばれしまくるので、来週の大阪城ホールで初見となる方がもしこちらのページにたどり着いていらっしゃる場合は、逃げて!今すぐ逃げるなっしよー!



武道館の入り口の看板からすでに、ヤバい、もう泣きそう、と仲間たちとそわそわしてたんだけど、オープニングで梨が登場して『ふなふなふなっしー』を歌いはじめた瞬間にダムが決壊し、マジでちょっと声だしながら泣いてしまった。じゃっかん記憶が飛んでるくらいエモいモーメント。ただ、ギターを弾いてくれてるゲストの高見沢さんの服がぱっと目について「あのお洋服の素材はなんなんだろう?」とふと考え込んで涙が止まり、平常心に戻った次第。

そして華やかに盛り上がったあとは、同曲の原型である伝説の狂ったペットボトル奏法のYoutube映像を武道館でみんなでじっと見るというシュールな時間。

しかし持ち歌10曲くらいで武道館での2時間をどう乗り切るんだろう?そして体力マジで大丈夫??という根本的な懸念は、テレビで共演して気心が知れたいい感じのゲストが次々と出てきてトークを繰り広げたり、梨の休憩タイムでのつなぎ映像が流れたりお助けMCがトークしたり、なめらかな構成で適宜クリア。まゆお姉さんはさすが歌のお姉さんをやってただけあって、決まった振付を会場みんなで踊るのが苦手なシャイな大きなお友だち(わたしとか)でもついつい乗せられてしまうインストラクションが秀逸だった。

『梨空レインボー』でふなっしーが宙吊りになってくるくる低空飛行する仕掛けがめっちゃ可愛かった(そして可愛さのあまりまた泣けてくる)んだけど、終わったあとゲストが「バイバーイ」とはけるなか、ひとりでぶらーんと宙に浮いたままでいる光景がめっちゃシュールで笑った。

梨ソムリエたちにとってはもちろんおなじみの梨皮チェック、今回はオープニングから「新品だ!!!5号誕生だ!!!」ってざわついたよね。晴れ舞台にてふなっしー5体目の梨皮がデビュー。すごく可愛らしい顔立ちなので、これから使いこんでいくうちにさらにどんどん表情が豊かになって愛着が増していくと思う。着ぐる・・・梨の妖精の表情が、ずっと固定された笑顔のようでいて実は内側からにじみでる感情がちゃんと伝わってくるの!と真剣に口にする大人になるとは、子どものころは考えてもいなかったな。あのころの未来にぼくらは立っているのかな。

5号は通気性とか機能性とかも高そうで、動きがいつもにもましてキレッキレだったし、中も(中って言うなっしー)広いのか、ギターをインストールしても3号のときのようなイリュージョンがはちきれそうなハラハラ感が無くて安堵。
内臓にギターを入れて弾き語るのはMR.BIGの”To Be with You”。もともと大好きな曲だけど、これもまた、梨が出始めたころの印象深い曲ですね。あの歌はコーラス部分とメインのボーカルのバランスが、一人で弾き語るにはなかなか難しい歌だよね。武道館のセンターステージで手ぶらのご当地キャラの体内からなぜか聞こえてくるギターの音色に真剣に耳をかたむける満員の聴衆、という光景がシュール。

あと、氣志團がやっさいもっさいを踊りながら出てきたのが、木更津キャッツアイ好きにはたまらないご褒美で嬉しかった!彼らと歌い踊る『ぶぎぶぎふなっしー』のライティングが超かっこよかった。ぶどう館を今日だけは梨館とする!

大人の事情でマクドナルドの制服を着用した梨もめっちゃかわいかった。ちょうど数週間前にマックでムーミンハッピーセットを見かけて、「ふなっしーハッピーセットとか出たら幸せなのだが。。。」とうっすら考えていたので、まさかの現実化に喜びもひとしお。CMも楽しみだなー。

切ない歌詞でおなじみの『ご当地キャラエレジー』をご陽気なステップを踏みながら歌い踊る姿に涙。そして「ふつうの梨に戻ります」と舞台下に消えて行ったふなっしーの後にぽつんと残る梨の実。切ないけどウケる。

アンコールはアンジャッシュ種子島さんが出てきて梨の実を投げる『ふなっしー探偵』の梨もどしを再現という粋な演出。
黄色いファンタジーなキャラクターが、キーが合わなさげで奔放な音程で歌う『大きな玉ねぎの下で』を聴きながら涙を流す大人になるとは、あの歌を聴いて東京の日本武道館という場所でのコンサートに憧れていた中学生の頃は想像もしていませんでした。
上京して初めて行った武道館のコンサートはフェイ・ウォンだったなあ、『ボヘミアン・ラプソディ』のカバーが超絶かっこよかったなあ、その数年後に成田のトイレでフェイと隣同士で並んで手を洗ってお話ししたなあ。。。と思い出走馬灯。最後に武道館で見たのってジェイ・チョウさんかな?そういえば昨日のふなっしーライブには台湾からのかわいいファンも来ていて、中華な電飾看板を久々に見てなつかしかった!

ラストは昔からの仲良しのキャラクターたちがステージに出てきて、マニアに人気の第二形態のアレンジの『ふなふなふなっしー』で締める完璧なエンディング。ふなごろーを生で見るのってたぶん初めてだったんだけど、ちっこくてすっごく可愛い。

ふなしの誠実さとユーモアと機転と客観性が遺憾なく発揮されたエンタテイニングな空間で、小さい子どもから高齢の方たちまで全員にこにこしながら梨を見守ったり、体力を心配したり、歓声を送ったりするのが平和な世界でとても素敵だった。
芸能事務所や大手の広告代理店の庇護もなく、単身でただ梨柄と知性で人間のエンターテイメント界を生き抜いてきた梨の晴れ姿を見るために、1万2千人の人たちが大きな玉ねぎの下に集まったという事実にただただ胸が熱く厚くなるのでした。あー、しあわせだった!

ふなっしーが口にする望みはいつも次々と現実になるので、やっぱり夢は声に出すことも大事なのだな、としみじみ思わされる。わたしも声だしていこう!カイルアビーチのコンドミニアムが欲しい!マンハッタンのアッパーイーストサイドのアパートメントが欲しい!(物欲かい!しかも不動産!)