怒り


発売直後に原作を読んでなかなか圧倒されたことは覚えているのものの、結局だれが犯人だったかはすっかり忘れてしまっていたので、あれ?このひと?いや、やっぱりこっち?と、はらはらしてしまった。原作も映画もまっさらな状態で楽しめるなんて、忘れっぽいって最高(ポジティブ)!
実際に起きた事件や社会問題を想起させるミステリーながら、この物語のなかで一番つよく響いてくる声は「愛する人を信じることができますか?」という普遍的な問いかけ。しみる。しみちゃうの。ストップ・ザ・疑心暗鬼!ってことですね。

松山くん、綾野剛森山未来くんという至高の一重男子を揃えることができた時点で、映像化の成功はすでに約束されていた。映像や写真によるミスリードがたくみ。あと、三か所で展開する物語の継ぎ目がいちいち素晴らしかったし、教授の音楽も安定の重厚感。出てくる役者みんな素晴らしかったね。篤姫と独眼竜正宗と平清盛の共演の場面など特に。あおいちゃんの慟哭は単純にもらい泣きしちゃうレベル。
綾野剛と妻夫木くんの出会いの場は、ゲイの友だちからよく話を聞かされてイメージしていた場所と寸分たがわぬ雰囲気で、友人も鑑賞後にあれすごいリアルだった、と言っていたので作りこみが半端ないな、と思いました。ゲイの男子の7割方は首筋またはうなじから何らかのオーラを発しているのでけっこう見分けやすい、というのが私の持論なんだけど、この映画のなかの妻夫木くんの首筋からまさにそのオーラが出ていて、役者魂すごいな、と思いました。