ガール・オン・ザ・トレイン

先日のボルドーからの帰路、寂しさを紛らわせたくてパリの空港でこちらの原作本を買い求めて読みはじめたのですが、やー、気が滅入るめいる!よけい落ち込むわ!でもすごく面白い本だった。

3人の女性のモノローグが時系列(ひとりだけちょろっと時間軸がずれてるけど)で章ごとに入れ替わり、それぞれの独白にものすごくイラっとしたりぞぞっとしたり(別の語り手に対して互いに”that bitch”と表現しているところがウケた)しながらも、でも自分は絶対に彼女たちのようにはならない!と断言できるかというとわからない。人としての矜持や尊厳が揺らいだ瞬間にあっという間に彼女たち(特にレイチェル)の側に転がっていくことはあり得るかもなあ、と考えさせられた。よく練られたミステリーであると同時に、愛や憎しみや母性、男性のゲスさなど、女性の心をぐりぐりっと深く掘り下げた、非常に読み応えのある小説でした。

ということで珍しく原作の記憶もあらたなうちに映画を拝見したところ、脚色があまり上手ではないな、という印象を受けました。わかるよ。難しいよね。丁寧に長々とつづられた3人の女性の独白を2時間の映画にわかりやすくまとめようと工夫をこらして頑張ったことは伝わりました。レイチェルのすさまじいダメっぷりが映画では幾分マイルドになっていたものの、エミリー・ブラントの酒漬け演技は素晴らしかったし、他のふたりの女優も美しくて悲しくてよかった。
レイチェルのルームメイト役が『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』のアレックスだったのが嬉しいサプライズ!彼女のあの極細まゆげは役作りじゃなくてデフォルトだったのね。あと、ジャスティン・セローってこんなに魅力なかったっけ?とちょっと驚いた。まあ、ジェニファー・アニストンを幸せにしてくれさえすればそれでよいのです(どこから目線?)。