アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場



誰か!パンを買って!早く買って!!!というハラハラ感に翻弄される名作でした。
ナイロビのテロリストたちの動向をドローンで探り、ロンドンの会議室でその処遇を決めて軍部に指令を送り、ネバダの米軍基地でドローンを操作して攻撃する、という21世紀の戦争。大勢の命を救うためにテロリストが事を起こす前に攻撃し、その攻撃の際に数名の市民を巻き添えにするのはありか否か問題。
出てくるひとの主張はそれぞれ誰も間違っていないし、誰も正解を出すこともできない。道徳の授業のようで、大義のもとに人が人の命をうばうことについて一緒に悩んでしまう、非常によく練られた物語でした。登意思決定プロセスの国家レベルのたらい回し感がリアル。
登場人物のなかに、ああ、わたしもこの場にいたらこういうことを言うだろうなー、と共感できる正論を言うひとがいたんだけど、「正論を言っている自分が気持ちいい」感もちょっと漂っていて、正論だけじゃ解決しない問題なんだよ、というところまで浮彫にされるのが、なんとも大人の映画だな、と思いました。その人物に対するアラン・リックマンのラストの台詞にしびれた。
ブレイキング・バッド』のジェシー・ピンクマンが立派に空軍で働いてる姿に、ピンクマン更生したんだね!がんばったんだね!と胸が熱くなった。