ダンケルク


戦争の愚かさや絶望をさらっと描き、人間の善き部分がふわっとまぶされた傑作。クリストファー・ノーランが、本作に影響を与えた映画のひとつに『スピード』を挙げていて、なるほど、たしかにあのハラハラ感が似通っていると思いました。
とにかく生きたい若者、自分の世代が始めた戦争が若者たちを犠牲にしていることへの屈託をかかえた船長、スピットファイヤーに乗りっぱなしのトム・ハーディという三つの視点と時系列から成り立つ構成が絶妙。いずれの立場も胸に迫るものがありました。
ダウントン・アビーのアンディが軍人役で出ていて、最終回から15年後ぐらいの設定だし、今ごろあのお屋敷は第一次世界大戦のときと同じように療養所的な場所になったりしているのかしら、と想いを馳せてしまった。