ガラスの靴

台湾の若手女性作家の作品の翻訳本って珍しいなあ、と思って手に取ったのですが、かーなりエキサイティング。この本はいわゆるロマンス小説とのことだけど、ロマンス小説とはこんなにも疲れる読み物なのですね。面白かった。「玻璃鞋(ガラスの靴)」というくらいだからシンデレラストーリーではあるものの、それはほんの発端にすぎず、あとは企業のトップ争いやら企業間の駆け引き、家族の愛憎がからみあい、とにかく濃い物語が全3巻にわたって展開するのでした。

主人公の相手の男性のサディストっぷりがものすごくて、何を考えているかわからない気まぐれな男子に振り回されるにやぶさかでない私でさえドン引きするほどに、つかみどころのない人格。主人公は物語の70%は泣いていて、もうあなたとは二度と会わないわ、というやりとりが百万回繰り返されるのが、昔の自分を見ているようで痛かったのはロマンス小説ならではの醍醐味なのでしょうか。

台湾新幹線の開発や台湾経済界における駆け引きなども書き込まれていて、作者の筆力に圧倒されました。他の作品も読んでみたいきもち。しかし台湾人の人名が漢字ではなくすべてカタカナ表記というのは、読んでいるとなかなか疲れますね。チョウ・ジエルンとかリウ・ドーホァとかフェイルンハイとかジャージャービンクスとか、そういうかんじの表記(こういう名の人たちは出てこないけど)がつらつらと続くので、とにかく名前が覚えられない。

台湾ではドラマ化の話が何度も持ち上がっているらしいけれど、もしもこれがドラマになったら相当迫力あるだろうなー。主人公の女性のイメージはパティ・ホー。おぼこいシンデレラ役が似合いそう。男子はピーター・ホーを思い浮かべながら読んでいたけど、F4の誰かが演じるのもアリかも。柴Pがなんとかして映像化することを期待しております。