八月納涼大歌舞伎 第三部 裏表先代萩

足利家の乗っ取りを狙った陰謀にまつわるエトセトラ。勘三郎さんは、陰謀の主、二百両の金目当てに主人を殺す下男、陰謀から若君を守る乳母、の三役。乳母の凛とした風情と、下男の小物然とした様子のギャップがすごかった。七之介のきりっとした(でも廓通いにハマっている)太守のハンサム具合に惚れ惚れ。勘太郎さんにいたっては5分くらいの出番だったけど、血管切れそうなぐらいの勇壮さが非常に男らしくて格好よかった。
久しぶりに、スタンダードな様式美やまったり感のある歌舞伎らしい歌舞伎を見たような気がする。きれいな舞台があって、心地よい和楽器の音に満ち、目の前でいなせな役者たちが熱演を見せる。もうそれだけでほんと幸せ。