八月納涼大歌舞伎 三部

  • 紅葉狩

夏まっさかりの歌舞伎座で紅葉狩とは、着物と同じでちょっと季節を先取りするくらいが粋ということなのかな?更科姫の6人の侍女(+1人、笑かし担当で違う着物)が着ていた、全員同じ模様で色違いの紅葉柄の着物が素敵だった。
可憐なお姫様の装いでたおやかに舞う前半部分と、鬼女の正体を現して勇壮に踊る後半部分と、勘太郎さんのまったく異なる二つの踊りを見られたのが嬉しかった。あと、鶴松くんが大きくなっていて、女性らしいしなやかさをすでに身につけていることに驚愕。

  • 野田版 愛陀姫

名作オペラの歌舞伎版by野田秀樹だなんて、なんともワクワクする組み合わせ。歌舞伎は究極のスローエンタテイメントだと私は思って(例:致命傷を受けてから死ぬまで20分くらい延々と語ったりするような、時としてゆったりとまったりとていねいに時間をかける部分が、体にじっくりとしみこむスローフードっぽい)いて、そこに野田さんの芝居のスピード感が加わることで起きる化学反応をいつも面白く感じているのだけど、今回は至極あっさりとした普通のお芝居っぽい印象を受けました。でもやっぱり良い役者ぞろいなので幸せな舞台だった。

シッチーの愛陀姫がものすごく可愛らしいのだけど、現実の恋愛だとより精神的ダメージが大きい勘三郎さん演じる濃姫のほうにどうしても感情移入してしまう己の恋愛負け犬体質に愕然とし続けながら観ていました。こじんまりとしたラストシーンが思いのほか胸にぐっと来て、いつまでも物語の世界から抜け出たくないような気持ちに。アイーダの音楽が好きなので、ところどころでポロポロと流れるのが心地よかった。あと、象!でっかい象が可愛い!