二月歌舞伎『門出二人桃太郎』


勘三郎さんロスが思いのほか長引いていて、ここ数年は歌舞伎鑑賞から足が遠のいていたのだけれど、三代目勘太郎と二代目長三郎の初舞台はやはり見届けるべきだと天啓が降りたので、千穐楽の一日前にあわてて幕見席に初挑戦いたしました。事前のリサーチにより、チケット販売の5時間前には歌舞伎座でスタンバイ。早めに行ったおかげでずっと座って待つことができたし、初めての幕見席、そんなに遠いかんじもしなくてよかった。
歌舞伎にハマってまだ15年ほどの若輩者なので、今までに何度となく映像で見てきた、ちっこい勘九郎丈と七之助丈が桃太郎の恰好をして鬼役の勘三郎さんをボコる伝説の演目を、勘九郎さん&子どもたちという組み合わせで見ることができるフェーズにやってきたことが本当に感慨深かった。
勘太郎と長三郎が舞台に出てきた瞬間に劇場にあふれる幸福感だけで泣けてしまう。目の前の3歳と5歳の役者がただ愛らしいだけではなく、これから鍛錬と経験を積み重ねて大きく育っていくことを観る者に確信させるのは、彼らと同じ道を通ってきた名優たちが同じ舞台にずらりと並んでいるから。伝統や世襲といった歌舞伎の世界のしきたりがもっとも的確に輝く瞬間に立ち会えることのよろこびと幸せが満ち満ちていた。
4年前に七緒八くんを歌舞伎座で見たとき、メインで踊っている役者の動きを舞台の後ろで真似ている様子に「おそろしい子!(白目)」と震えたものですが、三代目勘太郎として堂々と見得をきる姿がたのもしすぎてまた震えた。長三郎丈は、見得をきるときに首を前後にこくこくさせるのがめっちゃかわいかった!