間宮兄弟

いとおしい。いとおしすぎる。と、始終ニコニコしながら鑑賞しました。中島みゆきがものすごく良い。自然で軽やかで。「嫌われ松子〜」が、モノクロの小説を人工甘味料&着色料でコーティングしてセンチメンタルなスパイスを振りかけたおいしいお菓子だとしたら、「間宮兄弟」は、原作のうまみを損なうことなくほっこりと煮込んだ素朴な美味しいスープのよう。語りすぎない映像が心地よかった。

わたしはひとりっ子なので、子供の頃からひとりじゃんけん(右手と左手の人格を切り離す)やひとりトランプ(相手の番になると、無の境地でカードをめくる)などをたしなんでおり、ああ、きょうだいがいればいつでも家でゲームができるのに、寝るときにずっとおしゃべりできるのに、と願ったことは数知れず。周りにいる兄弟姉妹たちの、それぞれの間だけで通じるjargonがうらやましかったり。そんな子供のときのよるべない感覚が、間宮兄弟の仲睦まじさを目にして久々に蘇り、あたしもおにいちゃんかおねえちゃんがほしい!と20年ぶりに親にお願いしたくなりました。

そしてなんといっても2時間たっぷり大画面で塚地さんをうっとりと凝視した挙句、最後にリップスライムの音楽が流れてくるというのが素晴らしいじゃあないか。夢のような映画だよ。

あと、「カポーティ」の予告編を初めて見て感動。実際のトルーマン・カポーティの映像を見たことがなくて、この人はこんな話し方をするんだろうなあ、と今まで勝手に想像していた通りの声色だった。たしか何かの本に、「彼は子供のようなキンキン声で弱々しく話す」というような書かれ方をしていたような気がするんだけど、そのイメージのまんま。シニカルで、I Love Me!という感じの雰囲気も含めて。はやく見たいー。