女帝 (夜宴)

この映画でもっとも楽しみにしていたのは、中国の耀ける二人の女優の対決。キャットファイトが繰り広げられるのかしら、とワクワクしながら観ていたら、ツィィーちゃん=絶対的な権力/複雑な愛憎、周迅ちゃん=無垢でひたむきな愛、というかんじの対照的な演技合戦だった。二人が向き合う場面では、静かな火花が感じられたような。

ハムレット」をベースにしているとのことだけど、彦祖(ダンディな声に吹きかえられていた)がハムレットなのだね。本家のハムレットみたいにイジイジ悶々とした独り言が多くないのがよかった。端正なヴィジュアルとカンフーの素養が相まって、ユエン・ウーピンのバレエのような殺陣と好相性。あと、彦祖じゃない方の若い男子もかなり男前で気になりました。大陸の俳優なのかな?

宮廷内の家庭の揉め事というと、チャン・イーモウの「満城尽帯黄金甲」をどうしても思い出してしまいます。中華圏で公開された時期も近かったような。そして、同じようなどんより感。もー、そろそろ誰か、宮廷内のファミリーの超笑える陽気なバカ映画とか撮ってほしい。そういうのが観たい。

白と黒(ダークブラウン?)を基調としたシックな色合いの宮廷内が、こじゃれたアジアン・スパみたいな様子で、部屋のインテリアの参考にしたい気がしました。ツィイーちゃんの化粧(赤&黄金の目元/麻呂眉)が、「無極」のときのセシリアのメイクにも通じるものがあって、ああいうメイクは美人でさえもその美人度が若干損なわれる残念な化粧なのだなあと思いました。実生活で取り入れるのは絶対にやめよう。