第13次去香港 Day 3

早朝に外を見ると、また雨。二度寝して起きるとやんでいた。香港の雨は空気が読めるね。今日は初めてのマカオー、マッカオー、とわくわくホテルを出てペニンシュラ本館を歩きながら、「ん?雨が降るかもしれないし寒いかもしれないから、サンダルよりもスニーカーがいいかしらん?」と一瞬部屋に戻ろうかと躊躇するも、まあいいかとそのままMTRに乗り、上環へ。改札を出ようとした瞬間、「あれ、マカオってパスポートいるよね・・・・?」と思いあたって慄然。靴のはきかえがどうこうよりも、もっと大切なことを見落としていたよね。フェリーターミナルで待ち合わせしていたA姐さんに電話して謝罪し、そのまま尖沙咀へとすごすご戻ってパスポートを持ってふたたび上環へ。

あー、もう、ほんっとゴメン!と謝りながらA姐さんと半年ぶりの再会。フェリーに乗り込むと、「あのひとたち、"Amazing Race"の人じゃないかな」と姐さんが言う先には、バックパッカー風ふたり組と、テレビカメラやマイクを携えた西洋人が何人か。アメリカのTVでそういうリアリティー・ショーがあって、どの国で○○をやってこい、という指示を受けて素人が旅に出るという番組とのこと。かつての電波少年みたいなノリっぽい。出演者らしき二人がなかなかどうしてイケてなくて、撮影クルーが素敵だった。

積もる話をすごい勢いで話し続けているとあっという間にマカオ到着。マカオに着いたら両替しなきゃ、と意気込んで両替の長い列に並び、散々待った挙句に日本円を差し出して渡されたお金は香港ドルだった。ぎゃふん。 無料シャトルでホテル・リスボアに。リスボアの新館のまがまがしさに、軽く度肝を抜かれた。さてこれからどうしよう、と相談し、おもむろにタクシーでタイパ島へ向かうことに。道路の案内板が、漢字&ポルトガル語という組み合わせがとても新鮮。

タイパ島のどこか(まったく把握していない)ったら、とてもリスボンっぽい街並みなので感激してしまった。ポルトガル料理が食べたいねえといくつかレストランの前を通りすぎ、チョウ・ユンファポルトガル人らしきシェフが一緒に写っている写真が飾ってある店に決定。素朴な町の食堂という雰囲気。イワシの焼いたやつにレモンをしぼってオリーブオイルをかけていただく。んまい。あと、鶏のローストしたものや炒飯など。急に激しい雨音が、と思って外を見たら。豪雨。まあ、すぐにやむよね、と座ってのんびりしていたものの、まったくやむ気配がなく、意を決して外に。

タクシーでベネチアンに行こうとタクシーを探すも、全然通らない。路上やあちらこちらの軒下に同じようにタクシーを待つグループが点々としていて、互いをけん制するほのかな緊張感が走っていた。覚悟をきめて雨の中に飛び出し、折りたたみ傘が役に立たないくらいの激しい雨足の中をひたすら歩く。手持ちの地図にベネチアンが載っていない上に通りすがりのお店の人に聞いてみても英語が通じず、、遠くに見えるなんとなくヨーロッパっぽい建物を「あれちょっとベネチアの町の建物っぽいからそうに違いない」と勝手に決め付け、そちらを目指して歩く。何度かめげそうになってタクシーをつかまえようとして立ち止まって待っていても、まったく通らない。たまに近くでタクシーを降りるひとがいるので駆け寄って次に乗ろうとすると立て続けに断られたりで、久々にFワードが出そうに。

目星をつけていた建物の近くまで行くとまだ建設中。泣きそう。近くでやっと西洋人らしき人を見かけてベネチアンの正しい場所を聞くと、ちょっと先のほうにあるデカイ建物だった。歩いて行かれそうなので、やぶれかぶれで突進。ずぶぬれのよれよれでようやくたどり着き、ホテル内に入ろうとしたら警備員に「ここはVIPの入り口です」と止められ「オーゥ!ノォォーウ!」と倒れこみそうになったところで「が、しかし、雨がひどいので通ってもいいですよ」とGOサイン。ありがとう!VIPってなによ、何様よ、と言いながらそういえばザ・ポリスもジェイ・チョウもこのホテルで最近コンサートをやっていたことを思い出し、ははぁ、と地面にひれ伏しそうなきもちに。

カジノエリアに足を踏み入れると、ものすごくゴォーーージャスなつくり。カジノに興じる人々とのギャップがなんというか、高級な宝石箱に発砲スチロールが入っているような。おかげで、びしょぬれの哀れな様相のわたしたちも全く浮くことがなかった。「大小」のテーブルで人がやっているのをじっと観察。マカオで大小に興じるのって、まさに深夜特急の世界!たしかに、小が立て続けに4回来てるから次ははてさて、どっち?みたいなことを考えて予想通りになると、ゾクゾクするくらい面白い。ということで思い切って賭けてみる。最低掛け金が100HKドル(って高いよねよく考えたら)で一気に300ドルの負け。ふたたび冷静に観察し、最終的に800HKドルの勝ち。いままでの人生でカジノで一番勝ったのが20USドル(ラスベガスのスロット)だったので、非常にうれしい。サイコロがボスボスボスと転がりディーラーが蓋を開いて数字を覗き込む瞬間のスリルが、なんともたまらない。沢木耕太郎のきもちがよく分かった。

タクシーに乗るためホテルのエントラスに向かうとディズニーランド級の長蛇の列。まさかと思って聞いたらタクシー待ちの列だった。マカオはタクシー不足なのかな?2台に一台はトニー・レオンが微笑む広告タクシーなので、トニーに乗りたいと念じるも、わたし達の順番が来たらトニー車ではなかった。

タイパ島から戻る橋の海抜がものすごく低くて、灰色の海にギリギリ沈みそうな道路の上を走るのが超スリリング。セントポール聖堂へ行くと、ああ、これが、となんとなく感動。アンディ・ラウのなにかの映画を思い出した。壁の裏の階段を登ると市街地がぐるっと見渡せて、ポルトガルを思い出すような瀟洒な街並みの向こうのギラついたカジノの建物がものすごい破壊力。

相変わらずの豪雨の中、セナド広場周辺をちょろっと歩いて義順牛奶公司の本店へ。タイル貼りの壁がキュートで、リアリズムあふれる牛の写真が貼ってあって、お客さんは地元のおじいさんやおじさんたちばかりで、味わい深い素敵なお店!面白い模様の可愛い猫が店の中を徘徊していた。パパイヤシェイクと牛乳プリンをオーダー。世界で一番美味しいあまいものであるところの義順の牛乳プリンが、香港の店舗よりもずっとゆるゆるでぷりぷりだったのはたまたま?いずれにせよ至福の味。パパイヤシェイクの入れ物が、おなじみの赤い牛マークのガラスのジョッキではなくて、銅のようなアルミのような愛らしい巨大なマグに入っていた。

またしてもタクシーをつかまえるのに散々苦労しながら、どうにかこうにかフェリーターミナルへたどりつくと、香港島行きのフェリーはあと1時間後くらいじゃないと空席がないので、九龍サイドのターミナル行きのチケットを買い、香港に戻ったら糖朝で晩ご飯にしよう!と張り切って乗船。 冷房天国のフェリーに乗ると雨にべっちべちに濡れたコルク地のサンダルにより足元の冷えが尋常ではない。船は揺れるが船酔いだけはしたくないという無駄なプライドをかかえ、ぎゅっと目を閉じて揺れに耐えた。

香港に入国し、ターミナルを出たらすぐそこに糖朝。糖朝のピータンと豚肉のお粥とワンタン麺と腸粉は今までに何度も何度も食べてきたのに、いまだに「おーーーいC〜!」と心の底からとろけてしまう。食後はマンゴー豆腐花。新しい店舗の二階を初めてのぞいてみたら、その客席の多さにびっくりした。

姐さんと別れてDFSに立ち寄ってサクっと流したあと、HMVへ。香港映画の俳優別にDVDが陳列されていて、当たり前のように「呉鎮宇」とか「任達華」といったインデックスがあって、しかもなかなかの品揃えで夢のよう。楽しすぎて閉店ギリギリまでずっとDVDを物色し続けた。数々の名作映画に混じってヤムヤムの大昔の三級片っぽいパッケージの作品も置いてあって、ザ・ミッションを一番上に置いて隠しながらこっそり購入(中学生男子か)。

ホテルの部屋で久々にLateshow with David Lettermanが見られて嬉しかった。アメリカのトークショーではこの番組が一番好き。昼に姐さんとロバート・ダウニー・Jrの話をしていたら、この日のゲストが彼だったのでオッ、と思った。あと、アリシア・キーズもゲストで、年末年始に一人でマチュピチュに行って超感動したけどスープで食中毒になったという話が面白かった。