台北に舞う雪 (台北飄雪)

このまえ行った平渓の隣駅の菁桐(jing tong)が舞台になっていて、あのエリアの素朴でしっとりとした雰囲気を映像のなかで垣間みることができたり、平渓線の電車が映りこんでいたりするのがわくわくした。そして空飛ぶランタンが出てきたのがうれしい!でも物語のなかにあまり上手には取りこまれていなかったのが残念。

なんというか、もったいない映画だった。無駄なシーンがけっこう多い(e.g. おそろしく似ていないものまねで『牛仔很忙』が長々と歌われる寒々しさ・・・)わりには、物語の要となる場面の書きこみがことごとく雑。説明しすぎない、行間を読ませる映画は好きだけれど、そういうレベルに達してもいない。はじめのほうは普通に映画の世界に惹きこまれて見ていたのだけれど、後半になるにつれ、これは、もしかすると脚本が締めきりに間にあわなくなってきたので、大切な場面は適当に書き飛ばしたの・・・?という疑念がわきあがり、ラストシーンにいたっては、あれ?もう、書くのが面倒くさくなっちゃって強制終了?と心配にすらなってしまった。映像と役者はおおむね良いので、本当にMOTTAINAI

記者役のひとがなんか好きだなー、はじめて見る顔だなー、と思いながら見ていて、さっき検索してみて気づいたんだけど、『台北24時』の「午熱」のエピソードに出ていた会社員男子だったんだ!あのときも、このひとなんか好きだなー、はじめて見る顔だなー、と思いながら見ていたことを思い出した。莫子儀くん。覚えておきます。甘い雰囲気のなかに骨太さが見え隠れする好男子。

あと、チェン・ボーリンくんが主人公だったのが救い。観光客にとっては台北市内から菁桐なんて電車でちゃちゃっと行かれる距離ではあるけれど、主人公が感じている菁桐の外の世界への距離感が彼からちゃんと伝わってきたし、小さな町でなんとか自分の存在意義を見いだそうとしている切なさと閉塞感を、浅薄なスクリプトにもかかわらずちゃんと表現できているところが、すばらしかった。自転車に乗っている姿がいまだに似合うのもいい。ベスト自転車ニスト。