北米・南米シリーズ2012 Day 16: フォス・ド・イグアス−プエルト・イグアス

ゆっくり朝ごはん食べてゆっくり準備してチェックアウト。ごろごろと荷物を引きずってアルゼンチン行きのバスの停留所まで歩く。前日の国立公園行きのバスに乗ったターミナル的なところから1ブロック離れたところ、とガイドブックに書いてあり、それっぽい場所につくも、何の表示もないバス停なのでいまひとつ不安。近くでバスを待つひとにアルゼンチン行きのバスがここで停まるかどうか聞いたら、停まるよ、との返事。バスが一台やってきたけど、その人が「これは違うよ」と言い残し、バスから降りてきた運転手と入れ替わって運転席に座っていた。運転手さんだったのか。
しばらくしてやってきたバスには”ARGENTINA”とちゃんと書いてあった。バス停でずっと練習していた「ブラジル側のイミグレーションでバスを停めてください」というポルトガル語も噛まずにちゃんと運転手さんに言えた!はじめてのおつかいが成功したきもち。ブラジル人は出国手続きせずにアルゼンチンのイミグレーションまでスルーできるらしく、これを言わないとバスが止まってくれないらしい。
街はずれを走っているとほどなくして高速道路の料金所みたいなところでバスが止まり、パスポート・コントロールはここだよー、と運転手さんが教えてくれ、バスはそのまま行ってしまうのだけど、次に乗るバスにこれを渡したらお金はらわなくていいから、と整理券みたいなのをいただいた。

事務室みたいなところでささっと出国手続きが終わり、ぼーっと次のバスを待ってると、5分もしないでバス到着。運転手さんに整理券を渡して無事乗車。
さよならブラジル!こんにちはアルゼンチン!と車窓を眺めながら感慨にひたっていると、前の席のおじさんが英語で話しかけてきて、何人?日本人、というやりとりのあと、突然ペラペラと日本語で話し始めてウケた。東京だったかどっかに住んでいたとのこと。
バスが止まったところで「ここでアルゼンチンの入国審査ですよ」と教えてもらい、荷物も持って一旦下車。
さくさくと入国手続きをすませ、荷物のチェックを終えると今度は同じバスにそのまま乗車。さっきの日本語しゃべってたおじさんはなぜかバスには乗りこまず外でバイバイと手をふっていた。

ということでブラジルのフォス・ド・イグアスからアルゼンチンのプエルト・イグアスに移動。おなじイグアスの滝を観光地として擁するこの二つの街、景色ががらっと変わるのが面白い。ブラジル側のほうは濃い緑のゆったりとした大地が広がっていたけれど、アルゼンチン側は土っぽい、赤っぽい乾いた景色。
バスが終点に着いたところで、まずはアルゼンチンの通貨を入手せねば。すぐそばの土産物屋に両替の表示があったので行ってみたら閉まっていてがっくり。近くにあった旅行会社にダメ元で「両替できますか?」と特攻しあえなく敗退。でも、銀行の場所をざっくりと教えてもらった(あっちにあるよー、くらいの)ので、そっちをめざしてとぼとぼ歩く。
街全体が昼寝中みたいな気だるい空気が漂っていて、人気もほとんどないなかを10分ほど歩いているとちょっと銀行っぽい雰囲気の場所を発見。銀行はやっていないけれどもATMは稼働中なので、ぶじアルゼンチン・ペソをてにいれた。
次はホテルまでの足。タクシーは路肩に何台か止まっているけれども運転手席に人の姿が見当たらない。ウユニの街の悪夢がよみがえる!けれどもここは標高が高くないのでどれだけ歩き回っても平気だし、英語も通じやすいはず、と楽観的に無人のタクシーの周りを物欲しげにうろうろしていたら、休憩中だった運転手さんが「乗るー?」と声をかけてきて無事確保。
南米にいるあいだずっとそうだったんだけど、交渉制のタクシーの運転手さんは皆、ガイドブックに書いてある相場以上の金額を言ってくることが一度もなかったのがすばらしい。アジアだと、ちょっと、そうはいかないことも多々あるので、なんだか新鮮だった。
わたしが泊まるシェラトンは国立公園のなかにあるので、一度公園のゲートで入場券を買ってから再度タクシーに乗り込み、公園のなかに入るというスタイル。
久々のちょっと贅沢なホテルにチェックインし、滝が見えるお部屋に。ご機嫌でシャンパンを開け、部屋のベランダから悪魔の喉笛を眺めてぼんやり。かなりの天国度。
ホテルの庭がそのまま広大な国立公園という贅沢な環境なので、ぷらぷらとお散歩。前日にブラジル側から見てわーっと思っていた滝を間近で見るのにupper trailとlower trailのふたつのコースがあって、upper trailを散策。細い滝のひとつひとつにアダムやイブなどそれぞれ名前がつけられているのが興味深い。虹も出ていて美しい。

5時に閉園となり、小さい猿が木の実を食べているさまやハナグマたちがわいわい集っているのを横目に見ながらホテルに戻り、暗くなるまでベランダから滝をガン見。ホテルのメインダイニングで晩御飯。いまいち。
寝る前にベランダに出ると、月明かりにほんのりと照らされた悪魔の喉笛が、暗闇のなかでももうもうと水煙を上げているのが見えた。ごうごうと鳴る近くの滝たちの音も、暗闇のなか誰も見ていなくてもちゃんと続いている。自然ってすごいヨネ。そしてたくさんの星、知らない鳥や虫の声。本当に遠くへ来たなあとしみじみ。