冬の欧州ひとり旅 二日目 ポルトガル

marik2006-12-27


朝食後、ホテル近辺を探索。すぐ近くにはロシオ広場という賑わった場所がある立地で、非常に便利。ぶらぶら歩いているとH&Mを発見。ヨーロッパに行ったら是非ともチェックせねば、と思っていた洋服屋だったのでうれしい。日本で得た情報では、毎年ハイクラスのブランドのデザイナーがデザインを担当することで話題を呼ぶ廉価なおしゃれ洋服屋、という位置づけだったんだけど、あれ、広告戦略の勝ちだね。一応、マドンナなどがモデルに登用されているのだけれど、店内の製品を見て、むむむむ、という気持ちに。基本的にはZARAのような感じで悪くないものの、たまに目を剥くようなセンスのチープさ加減があちらこちらで炸裂していて面白い。

まっすぐな坂道をごろごろ下るケーブルカーに乗車。非常にほのぼの。次に乗った、平地を走る路面電車はものすごく早かった。中央線快速くらい(たぶん)の勢いで道路の真ん中を爆走し、ベレン地区へ。ジェロニモ修道院の白亜の建物が青い空に映えて美しい。教会の中にはバスコ・ダ・ガマの棺などが安置されていた。ポルトガルは、世界史好きにはなかなかわくわくする場所。

小腹が空いたので、食堂でじゃがいものポタージュ的なスープを食し、エンリケ航海王子など大航海時代に活躍した人々の姿が彫られた、発見のモニュメントへ足を運ぶ。高校時代、授業中にエンリケ航海王子の名が出てきたとき、もちろんバービーボーイズが頭に浮かんだよね。嗚呼80年代。川沿いのこのエリアは、海鳥が沢山飛んでいて、非常に穏やかな景色。川に浮かぶ鳥がおもむろに水の中に頭をつっこみ、貝をくわえて飛ぶと、そこらへんの地面に着地して、貝を割って食べていた。さっきから歩いているとやたらとムール貝のような貝が落ちていて、このあたりで皆バーベキューでもするのかしら、と思っていたら、鳥のご飯だったのだね。

ジェロニモ修道院に戻り、中庭や回廊を見学。やしの木をモチーフに彫られたという回廊の白い天井の彫刻が、息を呑むほど魅惑的。特別展示室のようなところで、ポルトガル/ヨーロッパ/世界の歴史を縦に並べた年表が展示されていて、なかなか興味深かった。「日本で歌舞伎が誕生」とか、そういう記述も出てきたりして。

修道院の近くの有名なエッグタルトのお店に潜入。すんごく広いのだけどすんごく混んでる。20分ほど待って着席し、エッグタルト2つとカフェラテをオーダー。あの、香港でいつも嬉々として食べているエッグタルトの本家ですな。ポルトガルのは、皮の層にパリっとした飴のような層が紛れていて、その部分はとてもおいしいのだけれど、クリーム部分がもっさり粉っぽくて、いまひとつ物足りない。香港のプルプルとろりとしたカスタードの方が好みです。

ホテル近くに戻り、サンタ・ジュスタのエレベーターへ。街中に突如あらわれる、鉄製のエレベーター、という光景がシュール。何かのビルの中にあるのではなく、ただ、エレベーターだけの建物なのです。一年ほど前、街中に透明なエレベーターだけが入っている建物が設置されていて、それに乗って上がったり下がったりする夢を見たことがあったのだけど、今回ガイドブックを見て、まさにそれに似たものがリスボンにあることを知って少し驚いたのでした。予知夢だったのかしらん。てっぺんが展望台になっていて、ぐるりと街を見渡すと、赤い屋根ばかりが広がる愛らしい光景でした。

晩御飯はホテル近くの、店頭に魚が沢山置いてあるいかにもおいしそうなお店へ。ポルトガルではイワシの炭火焼きがポピュラーらしく、それを口にすることを楽しみにしていたのだけど、お店の人に聞いてみたところ、今はイワシの季節じゃないのでメニューにはない。仮に置いてある店があるとしたら、それは冷凍物だね、と言われてガクー。
その代わりに、と薦められたイワシの酢漬け(そのイワシはどこから・・・?)がめっちゃ美味。オリーブオイルとお酢と、若干のにんにくに漬け込まれた魚。白ワインを豪快に飲みながら、おいしー、おいしー、これ、お母さんが作る南蛮漬けみたい、と思いながら食べていて、ふと、「南蛮」ってポルトガルやん!と気づく。そっか。これが本当の南蛮漬けなのか。
メインはやはりポルトガル名物らしい干しダラを茹でたものと温野菜。この味も何か懐かしい、とよく考えたら、コンビニのおつまみタラの味。それよりもボリュームがあって塩気が強く、完食するにはちょっと辛いかんじ。野菜は逆に味がなくて辛い。まあ、おいしい南蛮漬けに出会えただけでもよしとしよう、と己を慰めながら、再びエレベーターに乗りに行く。夜景を見るのだ。見下ろした街のそこここの通りがクリスマスのイルミネーションに彩られていて、満足しながらリスボンでの一日目は終了。