冬の欧州ひとり旅 六日目 ポルトガル→フランス

marik2006-12-31


リスボンを去る日がやってきました。一度もポートワインを飲まなかったことに気づき、空港のバーで一人グラスをかたむける。んまい!日本で飲むポートワインと全然違う。何本か買って帰りたいけれども、今後の旅を思うと荷物は増やせないなあ。一緒にエッグタルト(甘甘な組み合わせやね)を食べたものの、やっぱり香港式の味には及ばす。しかしポートワイン旨かった。ブランデーの芳香とワインの滑らかさを併せ持つ、甘美な飲み物だよ。

ポルトガル航空の飛行機にて一路パリへ。オルリー空港に着陸した、と思った瞬間、滑走路を走る機体が大きく左右にぶれて一瞬騒然。初めて経験する現象だったのでビビった。空港からのタクシーの車中で、10年ぶりのフランス語会話。十代の終わりに着手したこの言語の方が、ここ数年がんばっているつもりの中国語より全然スムーズに相手に通じるので、己の中国語センスの無さや脳のメモリ容量の限界を改めて思い知った。

ホテルはなかなかこぎれいで、ベッドが異様に小さいのを除けばかなり快適そう。隣が警察署なのも安心(しかしながら滞在中一度も警官の姿を見かけなかった)。ホテルを出てちょっと歩いて角を曲がれば、そこには間近に迫るエッフェル塔。たまにキラキラキラキラ光の粒が点滅したり、塔の先端からレーザービームのようなものが発せられたり、かなりゴージャス。でも、Sex and the Cityに出てくるフランス人があの光景についてアンニュイに言う"Hideous, hideous(悪趣味だわ)"という台詞を何度となく思い出してしまい半笑い。

晩ご飯どうしよう・・・と、にぎやかなカフェなどを何軒か通りすぎつつしばし歩き回る。欧州で東洋人女性が一人でレストランに入ってご飯を食べるという行為は、何日も続くと結構微妙なストレスがたまるのであった。自分で好んで来ているのだから仕方がないのだけれども。雨も降ってきて、心がしぼみかけたところに、漢字の看板を発見。やっぱりこれでしょう。中華料理屋で粛々と大晦日のひとりご飯。店を出るとかなりの勢いで降る雨。ふと、さっき来たのと違う道を歩いてみようと思い、びしょ濡れになりながらよく分からない道をガシガシ歩いた。軽く迷子になりつつ、なんとかホテルに帰り着き風呂に入ったのち、新年に飲もう!と食事に行く途中で買ったシャンパンを早くも開けて飲みながら、そのまま寝るか、年号の変わり目を外で経験するかしばし迷う。

雨も止んだし、せっかくだしね、と12時前にホテルを出て、エッフェル塔の真下へ。ひゅーひゅー騒ぐ群集と、あちこちで素人が打ち上げる花火で賑わっていた。数年前にミラノで年越ししたときは、広場の混雑ぶり(朝の山手線レベル)とカオスぶりにかなりビビったのだけど、こちらは広々とした公園にほどよく人が散らばっていてわりと余裕がある。やがてエッフェル塔がキラキラ点滅しはじめて皆「おーーー」と騒ぎ出したのだけど、今思えばあれが0時ジャストの合図だったのかもしれない。特にカウントダウンの声もあがらず、皆ワーワー騒いでいるだけで、気づけば手元の時計が0時5分くらいになっていたので、「あ、これは確実に年越したな」と思い撤収。ゆるい2007年の年明けでした。

日本に電話しようと、携帯をいじりながら歩いていると、前方から歩いてきたアフリカ系の男性が”Bonne Annee"と叫びながら抱きついてきて、そのまま抱え上げられてぐるぐる回された。何?何?と思っていると今度は別の人に同様に抱え上げられてぐるぐる。ヒーー、怖い!と早歩きしていると今度はインド系の男性が抱きついてきて頬にチュウ。なんだこれは。流行ってるの?自分のモテっぷりが空恐ろしくなり、早足でホテルへ帰り、元旦の朝である日本に電話してから就寝。