桐島、部活やめるってよ

桐島が本当に部活をやめるかどうかは観ているほうにとっては大きな問題ではなく、そこから巻き起こる一陣の風が連なり大きなうねりを生み出す様がとても面白かったです。小さな金魚鉢のなかでわあわあ騒いでいる金魚や底のほうでじっとしている金魚を眺めながら、わたしもかつてその金魚鉢のなかにいた、と懐かしく甘酸っぱく思い出すような作品。わたしはがっつり文化部だったので、神木キュンとか寿々花ちゃんたちが過ごす放課後のあの空気が懐かしくてしょうがなかった。
生徒役の子たちがみな絶妙な配役でいいんだけど、おんなオンナした女のイヤなかんじを巧みに演じてた女の子が特によかった。ひっぱたきたくなるよね、ほんと。そして大ベテランの寿々花ちゃんと神木さんは、すべての瞬間の演技が万遍なく素晴らしい。
クライマックスは実に映画的な感動に満ちていて胸が熱くなるのだけれど、そこに映し出されるものの一部が、わたしの苦手な系統の映像なので、胸がいっぱいになりつつも「こういう映像やっぱりヤダ〜」とテンションが少々下がってしまった。名シーンではあるのだけれど。一番好きだったのは、好きな男の子が授業中に窓の外を見ていて、近くに座っている女の子が同じように外を見て少しうれしそうにしているところ。そういった繊細な演出が随所に見られて非常に好ましかったです。