ゼロの未来/チャッピー/シンデレラ

<ゼロの未来>

恵比寿ガーデンシネマが復活してうれしい!予告編がことごとく好きなかんじの映画なのも楽しみ。館内にギリアム先生の直筆サインがあってときめきました。

テリー・ギリアムの狂気の世界に2時間ばかり浸れる喜びを存分に享受。あいかわらず狂っていて、ほんと大好き。サイバーとレトロが共存する朽ちかけた教会で暮らす設定や、へんてこで過剰なガジェットや未来観も好きすぎる。主人公の一人称を”we”にすることで醸し出される変人感って今までありそうでなかった気がする(そういう作品ほかにもあるのかな?)
途中でちょろっと出てくるベン・ウィショー似の男子がすごくキュート!って思ったら本人だったのね。そしてまたしても突然の登場にマット・デイモン本人かどうか確信が持てない某映画とまったく同じ現象が発生。ティルダ・スウィントンのラップの衝撃がまだ後をひいている。

この前ギリアムが来日したときに出ていたテレビのこの一瞬の画面の中の組み合わせが、わたしにとっては超絶豪華だったなっしよ。

<チャッピー>

めちゃくちゃ面白い!母性や父性、善と悪、創造者と人間、南アフリカへの旅行欲を根こそぎ引き抜くおなじみの荒れっぷり描写等、深いテーマがてんこもりかつエンターテイニング。しかしながら登場人物のだれにも心を寄せられなくて、なんとなく居心地の悪い思いを抱き続けたままだった。クライマックスの、ここはさすがに泣いちゃうかもという場面で突然あらわれる日本語の文字にちょっと笑った。

エリジウム』のジョディ姐さんといい、今回のシガニ―・ウィーバーやらウルバリン先生やら、プロムカンプはハリウッドの大物俳優をあえて微妙な役に使うことにひそかな喜びを感じているのではないかと思いました。のっけからCNNのアンダーソン・クーパー様が登場したのが一番テンションあがった!

<シンデレラ>

上記2本の作品で立て続けにディストピア的世界にどっぷり浸ったので、まろやかな気分になれる映画をどうしても観たくなり、いまいち惹かれないけどシンデレラでいいか、と適当な気分で映画館へ。

はああああぁあぁぁぁぁぁ。素晴らしかったーー!!!!!もう、フェアリーゴッドマザーが出てきたあたりからずーーっととろとろ泣き続けていた。美しさや多幸感に泣けてしょうがない。勇気と優しさを忘れずに、と何度も繰り返されるメッセージがそんなには心に響かないかな、と思ってたけど、「許しがたい人を許す」っていうのは最大の勇気だな、と最後にハッとしました。

安定感があって上品な作風がとても好きだなー、と思ったら監督はケネス・ブラナーだったのね。納得。オリジナル(ほんとは怖いグリム童話のほうじゃなくて、ディズニー版の)の世界をきっちり守りながらも、完全に誰もが知っている話を飽きることなく楽しく見せる職人芸。ビジュアルも素敵だった。白鳥のシャンデリアが欲しい!あの超素敵な青いドレスを着てガラスの靴を履いてブランコに乗りたい!

ダウントンアビー(ってかシーズン3のあの終わり方!ちょっとーー!!!)好きにとっては、お姉さん役がデイジーで、シンデレラ役のローズに辛くあたるというのが新鮮で楽しい。シンデレラってもうちょい繊細な女優のイメージなのだが、と思っていたものの、リリー・ジェームスのやったるで感に満ちた面構えが意外なまでのカタルシスをもたらしていいかんじでした。

エンディングで流れる”A Dream Is A Wish Your Heart Makes”、久々に聞くとやっぱり心にしみる。。。と泣きつづけ、次に流れるヘレン・ボナム・カーターが歌うビビデバビデブーですら涙が止まらなかった。やっぱり夢のある世界はいいね。
わたしの白馬に乗った王子様はおそらく森のなかで迷子になったのちにすっかり森の生活になじんで中年をむかえ(たぶん今ごろ髭ぼうぼうで熊と友だちになったりしてサバイブしてるはず)、きっとこのままずっと森から出てこないであろうから仕方がないと思っていたけれど、もしかしたらいつか奇跡的にめぐり会えるかもしれない!勇気と優しさを忘れなければ!という思いすら湧いてきたよ。ディズニーの魔法おそるべし。王子、スペインの森の奥深くとかにいないかなー。