SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁


本国でテレビ放映されたドラマを日本の映画館で上映するビジネスってどうなの?とか、ビクトリア朝を舞台にするのならばそれはもう”SHERLOCK”ではなくてごく普通のシャーロック・ホームズでしかないのでは、とか言いながらも、ついつい映画館にいそいそと向かってしまう悲しきCumberCollective(カンバーバッチファンの総称。Cumberbitchesより響きがマイルドですね)

すっごくどうでもいい個人的な嗜好の話をすると、わたしは「登場人物が普通の(現代の)服を着ていない海外のドラマおよび映画」が苦手で(小説なら大丈夫)、SFやファンタジーや時代物などは、たとえばスターウォーズテリー・ギリアム作品やダウントンアビーなど、なぜかしら心のツボにぴたっとハマる作品や、監督や役者や設定にとりわけ興味をそそられる場合を除いては食指が動きません。指輪物語とかハリー・ポッターとかカリブの海賊とかガイ・リッチー版のシャーロック・ホームズとか、食わず嫌いで観たことがないのです。

ゆえに、待ちに待ったSHERLOCKシリーズの新作でさえも、カンババッチさんの素敵すぎる正統派シャーロック・ホームズの装いをもってしても、昔の服を着た人たちが行きかう映像にはやはりいまひとつ乗りきれないな。。。と若干うとうとしてしまった。

が!しかし!途中からぱっちり目が覚めました。そう来るか!という展開がね!さすが、一筋縄ではいかないね。いつものごとく、頭がよくて心底シャーロック・ホームズを好きなシャーロッキアンたちが真剣にかつ楽しみながらストーリーを構成してる感に満ちていて楽しくなっていきました。

ここから先はちょっとネタバレかもしれないので、たまたまこのページにたどり着いたものの、これからこの作品を見るのを楽しみにしているCumberCollective仲間がいらっしゃったら、ここでそっと閉じていただければ幸いです。またのご来訪をお待ち申し上げます。
カン!


バー!

バーーッチ!



<以下ネタバレ>


これ、ちょっと『インセプション』っぽいよね。シャーロックのmind palaceと、インセプション的な夢の階層の融合により、これまでのエピソードとはまた異なった趣で天才の頭のなかをのぞかせてもらえるのが面白い。で、メインの事件は当時の女性の立場が鍵となっていて、現代ではなくビクトリア朝でなければ成立しえなかった物語であることが完全に納得できるのが素晴らしい。

そしてこれだけ壮大なストーリーを描いておきながら、終わってみると2年前のシーズン3の第3話のラストシーンからおそらく1時間くらいしか話が進んでないのがウケる。はやく続きが見たい!”Did you miss me?”はけっきょく誰の仕業なのー?